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本田宗一郎や藤子・F・不二雄も発症した「肝不全」。いったい肝臓に何が起こった?

1. 丈夫であるはずの肝臓が原因。肝不全で亡くなった有名人

本田技研工業(HONDA)の創業者である本田宗一郎氏や、ドラえもんの生みの親である藤子・F・不二雄氏、また、今月9月1日には、先月初旬にNHKの教育番組「ひとりでできるもん!」で舞ちゃん役を務めた平田実音(みお)さんが亡くなっていたことが分かりました。

彼らの命を奪った病気、肝不全。一体どんな病気なのでしょうか。

沈黙の臓器である肝臓は中々私たちに症状や危険性を教えてくれないので、私たち自身でしっかり学びましょう。

2. 沈黙の臓器である肝臓は、どこか現代の日本人に似ている

沈黙の臓器、肝臓。その機能はまさに戸愚呂弟、DIO、スティーヴン・セガール

前回のブログでは、人間の身体のなかでも特に丈夫な器官である肝臓の強さを、有名で化け物じみたキャラクター達に例えました。

しかし、現実では肝臓がんの死者数は毎年3万人を超え、肝臓がんの前段階である肝炎や肝硬変を含めると、その数は数十倍にも上ります。

参照:日本人の患者数とその特徴-C型慢性肝炎-MSD

肝臓がいくら強いとはいえ、その強さには限度があります。

その限度に気付かないでいると、取り返しのつかない事態に陥ってしまいます。

その肝臓の姿は、まるで身体が壊れるまで音を上げずに働き続ける会社員のようです。

そう考えると、決して肝臓は決して万能ではなく、身近な、そして大切な存在のようにも感じることが出来るのではないでしょうか。

会社のために働き続ける社員を労わるのは、社長である貴方自身に求められるスキルだと思います。

良い経営者、つまり健康な身体でい続けて、ぜひ老舗企業と呼ばれる人生を過ごしてみてはいかがでしょうか。

3. 肝不全、肝炎、肝硬変・・・。あなたの肝臓はどの段階?それぞれの症状や経過について

肝臓が悪いと一言でいっても、その容態は様々です。

もう既に肝臓が悲鳴を上げていることが身体にとって一大事ですが、それでも適切な処置を迅速に施せば、命が助かる可能性が出てきます。

肝臓の容態を表すときに、よく用いられる単語や症状についてまとめました。

肝臓病とは肝臓の異常を指す総称

肝臓にまつわる全ての病気や症状の一般的な総称です。一言で肝臓病と言っても、肝炎や肝硬変、肝臓がんなど、その経緯や症状は様々です。

肝臓の黄色信号「肝機能障害」

肝臓の機能が異常である状態を指す言葉です。主な原因は、ウィルスによる肝炎や、アルコールによるアルコール性肝障害、薬物による薬物性肝障害などさまざまです。

血液の異常値で結果が分かりますが、沈黙の臓器と呼ばれるようにあまり主だった症状は、ある程度進行しなければ出てきません。

倦怠感や腹水が溜まるといった症状が出た場合や、肥満や高血圧ぎみの方は注意が必要です。

肝臓の赤信号「肝炎」

肝臓に炎症が起こっている状態です。

一般的に肝炎というと「ウィルス性肝炎」を指しますが、その他の原因には「アルコール性肝炎」、「薬物性肝炎」、「自己免疫性肝炎」があります。

また、発症の仕方も3パターンに分けることが出来ます。

突発的に発症する「一過性肝炎」、半年にわたり症状の収まらない「慢性肝炎」、一過性肝炎の中でも一週間から10日のうちに死に至る「劇症型肝炎」があります。

これは人も同じで、一度体調が悪くなるとなかなか治らない人や、ある日突然亡くなってしまう人が多いのと似ていますね。

参照:国立研究開発法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター

主なウィルス性肝炎の種類、日本人に多いA型、B型、C型

<A型肝炎>

日本で起こる急性肝炎のおよそ4割がこのA型肝炎です。

経口感染によって引き起こされるため、日本での発症は減少傾向にありますが、衛生状態の悪い国での罹患が目立ちます。

一過性のため、通常は安静にしていれば治ります。

<B型肝炎>

出産のときに母親から子供へ感染するケースや、性的接触などから血液や体液を介して感染します。

以前は輸血の際に注意するべき病気の代表格でしたが、管理体制が整ったため今では減少しています。

一過性肝炎と慢性肝炎のどちらも引き起こされる可能性があり、感染しても症状や出るケースや出ないケースも確認されているため、気付かずに感染している(キャリアと呼ばれる)場合が考えられます。

<C型肝炎>

B型感染と同じで血液を介する感染ですが、B型肝炎に比べ、感染力が低いのが特徴です。

そのため、大半が輸血による感染になります。

初期症状がほとんど表れないため、7割以上の人が慢性感染になってしまい、気付いたときには肝硬変や肝臓がんに繋がっていってしまいます。

肝臓の通行止め「肝硬変」

主にC型肝炎などによる慢性肝炎から、肝細胞が死滅してしまい、代わって線維組織によって囲まれて硬くなった状態を指します。この状態に至ってしまうと、もう後戻りは出来ません。

主な症状は、軽度ならば食欲不振や体重の減少です。

重症になるにつれ、浮腫や身体の各部位からの出血、意識障害が見られます。また、肝臓がんの一種である、肝細胞がんが肝細胞から発生します。

参照:肝硬変-肝炎情報センター

肝臓の通行閉鎖「肝臓がん」

肝臓から発生した原発性肝がんと、肝臓以外のところから転移した転移性肝がんがありますが、肝炎や肝硬変を経て発症した原発性肝がん、中でも肝細胞から発生したがんが肝臓がんの9割以上を占めます。

一般に肝臓がんといえば、この肝細胞がんを指します。

感染経緯は、7割以上がC型肝炎、残り2割がB型肝炎、1割がアルコール性肝炎です。

慢性肝炎の流れなので、いつ肝臓がんが発症したのか気づきにくいですが、進行するに従って、「肝不全」症状や他の合併症を併発します。

参照:肝細胞がん-がん情報サービス

肝臓の無声な叫び「肝不全」

肝不全は、今まで挙げた肝炎や肝硬変などのあらゆる病気の結果として生じる、肝機能の大幅な低下を表す総称です。

急性肝不全は、黄痰や腹水などの初めの肝臓障害の兆候から1ヵ月以内に肝性脳症と呼ばれる意識障害が起こります。特に早い場合だと1週間以内、そうでなくても3か月以内に急速に進行します。

慢性肝不全は、様々な原因が考えられますが、主に肝硬変やC型肝炎を経て発症します。

数か月から、人によっては数十年かけてゆっくりと進行していきます。

参照:肝硬変・肝不全-東京慈恵会医科大学 外科学講座

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