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2016年8月10日更新

早期発見なら漢方薬で子宮筋腫が小さくなることも!西洋薬との併用も効果的。漢方治療の保険適用・副作用・体験談

子宮筋腫は漢方薬で完全になくすことは出来ませんが、小さくしたり、辛い症状を和らげるのに効果があります。よく処方されるお薬の効能はどんなものがある?西洋医学との併用でさらに効果が高まることも。保険の適用や気になる副作用、体験談等まとめました。
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1.子宮筋腫の治療に漢方薬を!目的は対症療法ではなく体質改善

通常、子宮筋腫の治療はホルモン療法と言われる薬物療法と手術療法が行われますが、漢方薬も子宮筋腫の治療に使われる場合があるのをご存知でしょうか?

漢方薬は筋腫を根本的に消失させることが出来るわけではありませんが、筋腫の進行(成長)を抑えたり、筋腫によっておきる痛みや不快な症状を和らげる効果があります。

また、手術で筋腫を取り除いても子宮を温存していると、体質によっては再び筋腫ができることがありますが、術後、再発予防の体質改善のために漢方薬が使われる場合もあります。

東洋医学的見地からみた「子宮筋腫」とは?

漢方をはじめとする東洋医学(中医学)の治療の考え方では、具合の悪い箇所だけを局所的に治療するということではなく、身体全体のバランスを整えることが重要とされています。

漢方治療は、気になる症状の改善ではなく、「患者さんの体質や精神状態などトータルでケアすること=体質改善」を目的としています。

この点が「痛みには鎮痛剤」というような対症療法が中心の西洋医学と大きく違うポイントです。

子宮筋腫の治療においても、身体全体のホルモンバランスの乱れを整えてあげることで、筋腫の発生に関係の深いエストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が正常になり、その結果、子宮筋腫の症状を改善する効果が期待できます。

子宮筋腫は婦人科系の不調「血の道症」の1つ

子宮筋腫や月経困難症、更年期障害など女性ホルモンによる婦人科にまつわる不調を東洋医学では「血の道症」と言い、血液循環の悪さ、水分代謝の悪さが原因とされています。

東洋医学では身体の冷えや栄養が偏った食生活などによって血液循環が悪くなり、子宮や周辺の臓器にドロドロした悪い血が溜まることを「於血(おけつ)」と言います。

子宮筋腫はこの「於血」により起こるため、この「瘀血」を改善し、体内の血液循環を良くすることが大切です。

(参考)公益社団法人 日本薬学会 薬学用語解説
※こちらのページではさまざまな薬品名や薬学用語について検索できます。於血についての解説を見ることが出来ます。

気(エネルギー)の乱れ「気滞(きたい)」も原因に。

「於血」と並んで、気の流れが滞る「気滞」も子宮筋腫の原因の一つと考えられています。

気とは体の中のエネルギーのことです。

精神的なストレスなどが原因で、体内の気の流れが悪くなると、あちこちに痛みなどの症状が現れます。

子宮筋腫は、この「於血」「気滞」の2つが主な原因とされており、これらを解消することで子宮筋腫の症状を改善させることが出来ると考えられています。

(参考)花月クリニック 漢方について
※こちらのクリニックでは漢方中心の診療を行っており、漢方についての情報が多数掲載されています。

漢方薬は小さい筋腫、初期の筋腫に効果的

まだあまり進行していない子宮筋腫の場合、「於血」「気滞」の状態もまだそれほど悪化していません。

そのため早いうちに漢方による治療を行うと、症状も大きな改善効果が期待できます。

3㎝未満の筋腫の場合であれば、漢方薬治療をすることで、サイズが小さくなったり、ほぼ見えないくらいまでになるケースがあります。

また、多発性で子宮内に筋腫がいくつも出来ている場合も、漢方治療により個数が少なくなったという症例も多く報告されています。

反対に5㎝以上の筋腫になってしまうと、漢方薬だけで小さくするのは難しいとされています。

手術療法なども視野に入れながら、これ以上筋腫が成長するのを抑えたり、下腹部痛などの不快な症状を和らげる目的で使われます。

また、進行性の筋腫や多発性の筋腫の場合、一度筋腫を摘出しても、生活習慣や体質などの素因によって再発することが多いと言われていますが、そのような時にも、漢方薬は有効です。

手術後、筋腫ができにくい体質に変えるため、再発予防として漢方薬を処方することもあります。

(参考)なかむら薬局 漢方サロン
※こちらのページでは中医学的に見た子宮筋腫についての解説を見ることが出来ます。

2.子宮筋腫に効く漢方薬にはどんなものがある?

漢方薬は西洋医学のように1つの病気に対し、決まった薬が処方されるということはありません。

同じ子宮筋腫であっても、出来た場所、押すと圧痛を感じる箇所、現れる症状の強弱などは患者さんの体質によって違いがあります。

東洋医学ではこの体質の違いを「証」といい、この判定が治療薬の処方の基本となります。

漢方薬は基礎的な体力の度合い、「証」などによって、処方する薬や効果が出る薬が異なります。

そのため、同じ子宮筋腫の患者さんでも違う漢方薬が処方されたり、その配合や量を微調整するなど、オーダーメイドの治療を行うことができるのです。

その体質の診断には問診の他、舌診(べろの状態)、腹診(お腹を押す)、脈診(脈の強さを見る)などが行われます。

子宮筋腫で良く使われる代表的なお薬は以下のようなものになります。

◆桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血行改善、冷えを取る、むくみの除去、炎症を鎮める、ホルモンを整えるなどの効果があります。
比較的体力がある方に用いられます。
下腹部痛や肩こり、めまい、のぼせ、頭痛、手足の冷えなどを改善します。

(参考)おくすり110番 桂枝茯苓丸
※こちらのサイトでは病院で処方されるお薬についての詳しい解説を見ることが出来ます。

◆婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

血行改善、滋養強壮、疲労回復、食欲増加、造血作用などの効果があります。
子宮や卵巣などの機能を高める効果もあるとされ、中国では古くから「女性の宝」と珍重されてきました。
冷え性、貧血、生理痛、肩こり、頭痛、腰痛などを改善します。

◆血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)

「於血」改善、強壮作用、鎮痛作用、利尿作用などの効果が期待できます。
他の漢方薬と併用して使われることが多いです。
肩こり、のぼせ、頭痛などの症状を改善します。

◆桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

下腹部の圧痛(押すと感じる痛み)や便秘、のぼせ、肩こり、めまい、耳鳴り、不眠、腰痛、生理痛などに効果があります。
比較的体力のある方に処方されます。

(参考)おくすり110番 桃核承気湯

◆当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

婦人科疾患で処方されることが多い漢方薬で月経の異常や更年期障害などにも処方される漢方薬です。
身体を温め、血液循環を良くします。
貧血症状が強い場合や、むくみなどの体内の水分のコントロールにも効果があります。
比較的体力のない方に使用されます。

(参考)おくすり110番 当帰芍薬散

◆加味逍遥散(かみしょうようさん)

脈などが弱く体力のない方に処方されます。
胸がつかえるなどの不定愁訴が多い方で、精神的ストレス症状の強い方に効果があるとされています。

(参考)おくすり110番 加味逍遙散

これらのお薬の中から、それぞれの患者の体質にあった漢方薬を単独または併用して使われます。

その他にも貧血で出血量が多い時は止血効果のある漢方薬を併用したり、鉄剤を一緒に処方するなど、その人その人にあったお薬が追加される場合もあります。

3.漢方薬の効果はどれくらいで現れる?副作用はあるの?

体質改善には時間がかかる。3ヶ月は試してみることが大切。

漢方薬は「於血」「気滞」を解消し、じわじわと体質を改善することが目的で使われるので、即効性があるわけではありません。

効果を感じられるまで数週間~数ヶ月程度かかることもあります。

少なくとも3ヶ月程度は継続して服用し、効果があまり感じられないようであれば、それから別の漢方薬に変えるという場合もあります。

漢方薬にも副作用は起きる場合も。

身体に優しいイメージのある漢方薬ですが、副作用が全くないわけではありません。

人によっては吐き気、むくみ、皮膚の発疹や赤み、食欲不振などが起こる場合があるので注意が必要です。

まれに肝機能に障害が現れることもあるので、飲み始めてからの体調を良く観察し、何か異変を感じた時は、早期に薬の見直しが必要になります。

漢方はどこで処方してもらえる?健康保険適用は?

漢方治療で一番大切なのは「その人その人の「証」を見極める事」にあります。

最近ではドラッグストアなどでも漢方薬は手に入るようになりましたが、正確な「証」を知らずに自己判断でお薬を飲むのは、効果が出ないということだけでなく、副作用の心配もあり、おすすめできません。

まずは一度、婦人科の医師や漢方の専門医の元、検査や診断を受けて、体質を見極めてから漢方薬を使うことが重要です。

漢方専門の薬局ではエキス剤ではなく、「煎じ薬」と言われる生薬を煮出して飲むタイプのお薬が処方されることもあり、細かい配合を調整できるため、高い効果が期待できる場合ありますが、毎回煮だす必要があるため服用には手間がかかり、保険もきかないために薬代が高くなることがあります。

最近では漢方治療を行っている婦人科も増えてきています。

ツムラなどのエキス剤などを処方されることが多く、医師の処方箋があると健康保険の適用になるため、薬代を低く抑えることが出来ます。

特に、規模の大きい医療機関では漢方専門医による「漢方専門外来」を設けている病院もあります。

このような専門外来は完全予約制である場合も多いですが、それぞれの体質の診断に時間をかけ、状況に応じて鍼灸を併用したり、煎じ薬(保険適用外)なども処方してくれる場合もあるので、お近くにある場合は受診してみるのも良いでしょう。

全国の東洋医学漢方専門外来のある医療機関を「病院口コミ検索Caloo」で探す

また、漢方薬は単独で使われる事もありますが、西洋医学との併用をすると、さらに効果が大きくなるケースが多いのも特徴です。

西洋医学と東洋医学(漢方薬)のそれぞれ良いところを取り入れることができる医療機関を選び、それぞれのメリットを生かした治療を受けることがベストと言えるでしょう。

【体験談1】1.5㎝の筋腫は手術の必要はなし。辛い生理痛を抑えるのに漢方を使用。

幸いにも、まだ1.5センチほどの大きさだったため、手術などは必要ないが、
生理痛がひどくなっているのは筋腫のせいもあるだろう、とのことで、鎮痛剤(ポンタール)
とブスコバンという子宮の収縮を促進する薬を処方されました。
しかし、生理痛はそれでも収まらず、医師から処方された薬は市販の物よりは若干マシ、
くらいの効き具合でした。
当時通っていた婦人科医に、違う薬は無いか聞いても、他に方法は無い、と
言われてしまったので、思い切って病院を変えました。

新しい病院では、加味逍遥散(かみしょうようさん)という漢方を処方してくれました。
一日3袋分として1か月分処方してもらい、診察代など全て含めて2500円くらいです。
保険が効くので、薬局で買うより安いと思います。
漢方は効き目が出るまで時間がかかると思っていたのですが、飲み始めてから10日くらいで
きた最初の生理がかなり楽に感じたのでビックリしました。
といっても完全に痛みが無くなったわけではなく、日によって異なりますが、元々の痛みの
10分の1から2くらいの痛みです。

(出典)ひどい生理痛は子宮筋腫が原因だった。漢方も効果的です。

【体験談2】最大8㎝の筋腫を発見。漢方を利用し手術なしの方法で筋腫が小さく。

内診の結果子宮筋腫でした。
ちょっとそのような予感はしていましたが、ビックリしました。
その後MRIでみてもらったところ、
その時の筋腫の大きさは8センチでヒマワリみたいに大きいのと周りに小さい筋腫がたくさんあったそうです。

手術は嫌だったので、先生にはできるだけ手術はしないで治療したいと伝えました。
で、最初は保険のきかない注射を月一で半年間打ちました。
それで少し小さくなって行き、その後は点鼻薬に変わりました。
そして、点鼻薬の次は漢方薬に切り替わりました。
この漢方は子宮とその辺りの炎症を抑えたり、
生理不順にも多少効果があるようです。

大きくなったり小さくなったりの繰り返しでしたが、
今はとりあえず子宮筋腫は3センチになっています。
そして今も漢方薬を飲んでます。

(出典)生理が長引いて子宮筋腫!注射や漢方で少しずつ小さくなりました。

体験談1の方は小さめの筋腫のため、手術は必要ないと診断されましたが、筋腫による生理痛が悪化してきていたため漢方薬を利用し、症状を改善することができました。

漢方薬を使って体質を改善することで、鎮痛剤でも治せなかった生理痛の痛みを改善させるという、漢方薬の得意分野の治療と言えるでしょう。

反対に体験談2の方は、本来ならば手術も考えるような大きさに進行してしまっていますが、ご本人は手術を避けたいということで、ホルモン療法を行った後に漢方に切り替えたと思われます。

ホルモン療法は、筋腫を小さくするのにとても効果的ですが、更年期障害のような副作用が起きたり、骨粗しょう症になる可能性があるため、長期間は使えません。

そのため代替療法としてホルモン療法後、漢方薬治療に切り替え、筋腫を3㎝程度にまで小さくすることができています。

西洋薬であるホルモン剤と漢方薬をうまく併用して、筋腫の大きさをコントロールしている好例と言えるでしょう。

4.漢方薬治療プラス食事、生活習慣見直しでトータルケア。

夏でも必要!「冷え対策3カ条」とは?

東洋医学では「冷え」が血液をドロドロに滞らせ、「於血」の元になると考えられています。

身体の冷えがあると子宮も冷えるので、子宮筋腫の症状悪化につながります。

「冷え」は冬だけのものではありません。普段から以下のような点に気を付けましょう。

1.お腹を冷やさない。

お腹の冷えは、生理痛を悪化させたり、出血量の増加につながります。

生理中に限らず、普段からお腹を冷やさないように心がけましょう。

腹巻などを利用するのもおすすめです。

夏のエアコンの過剰な冷房も冷えを進行させるので、クーラーの効いた場所に行く際は1枚羽織るなど、適度に温度調節できる服装をすることも大切です。

2.体を冷やす食事を避ける。

また食事の摂り方でも「冷え」につながることがあります。

南国でとれる砂糖は体を冷やすと言われています。

お菓子やチョコレートなど甘いものが好きな女性には辛いですが、取り過ぎには気を付けましょう。

果物も「水菓子」と言われ、水分と糖分を多く含んでいるため、身体を冷やします。

野菜は生の野菜サラダではなく、火を通した温野菜などがおすすめです。

氷を入れた冷たい飲み物は避け、なるべく常温、または暖かい飲み物を飲むようにしましょう。

3.適度な運動をする。

精神的ストレスも子宮筋腫の悪化につながります。

毎日しっかり睡眠をとり、栄養バランスの良い食事ができているか、今一度見直してみましょう。

適度な運動することは、ストレス発散やリフレッシュに効果的です。

ウォーキングや軽いランニングなどは、気分転換にもなりますし、血行を良くして体温を上げる効果もあるので、習慣にすることをお勧めします。

このように、病院での治療だけでなく、自分の生活の中でもこまめに「冷え対策」をしてみましょう。

毎日、小さなことから「冷え」に注意をすることが、漢方薬治療の効果を一層高めることにつながります。

「漢方薬治療」と「生活の見直し」の両面からトータルにケアし、子宮筋腫を改善させましょう!

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