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2018年6月5日更新

難聴・繰り返す中耳炎が軽減!「鼓膜チューブ留置術」のメリット・デメリット・体験談

滲出性中耳炎による10歳頃までの難聴は、言語理解力の遅れなど発達に負の影響を与えかねないため、「鼓膜(換気)チューブ留置術」が積極的に行われています。今回は、目的や効果、メリット・デメリット、後遺症、留置期間、費用、過ごし方など体験談を交えてご紹介します。
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最近、お子さんに下記のような行動が増えていませんか?

「ボリュームを上げて、TVを見ている。」「呼んでも、全然返事をしない。」「よく聞き返す事が増えた。」

その症状は、もしかしたら「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」による難聴が原因かもしれません。
滲出性中耳炎は、中耳(鼓膜の奥)に滲出液(液体)が溜まることによって、鼓膜の振動が悪くなり、聞こえにくくなる病気です。

小児滲出性中耳炎診療ガイドラインによると、3歳頃から小学校低学年までの子どもに多く、”就学前に90%が一度は罹る中耳疾患”とも言われています。

ただ滲出性中耳炎は、急性中耳炎とは異なり、強い耳の痛み・発熱といった症状はありません。
唯一の症状である「難聴」も軽い場合が多いので、小さなお子さんの方から耳の異常を訴えることも少なく、なかなか周囲が気付きにくい厄介な病気です。

しかも、ちょうど発症しやすい3歳~10歳頃までの「難聴」は、将来の発語や言語読解力に重大な影響を与えかねません。

そのため、薬物療法や鼓膜切開を行っても改善しない場合には、外科的治療(手術)として「鼓膜(換気)チューブ留置術」が積極的に行われています。

今回は、「鼓膜(換気)チューブ留置術」のメリット・デメリット、起こりうる後遺症や手術の流れと留置期間・費用のほか、気になる痛み・過ごし方などについて、ご紹介します。
また、実際に「鼓膜チューブ留置術」を行った方の体験談もご紹介します。

(参考)小児滲出性中耳炎診療ガイドラインについて~一般向け解説書|日本耳科学会 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン作成委員会
こちらのガイドラインでは、滲出性中耳炎の症状・治療や鼓膜チューブ留置術が説明されています。

1.鼓膜(換気)チューブ留置術とは?

鼓膜チューブ留置術は、鼓膜チュービングとも呼ばれ、滲出性中耳炎の代表的な治療法として、現在に至っています。

小児滲出性中耳炎の約1/3は、3か月以内に治癒するため、中耳に滲出液が溜まっていてもすぐには「鼓膜チューブ留置術」は行われません。

聴力改善に即効性!鼓膜チューブ留置術の目的・効果

鼓膜チューブ留置術の目的とは、換気機能の悪い耳管に代わって、チューブの穴を通して、中耳と外との間で空気の出入りができるよう換気機能を改善することです。

また、中耳に溜まっている滲出液を出しやすくすることで、炎症を抑えることができます。
聞こえにくい原因であった滲出液がなくなるので、「速やかに聴力改善の効果が現れる」とされています。

施術に年齢制限はありません。

適応となる症状-3か月治らない・難聴がある・鼓膜と周囲の粘膜が癒着している

小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年によると、「発症(診断)から3か月以上経っていること」が前提条件となっています。
なお、発症から3か月の間には、必要な検査や鼻副鼻腔炎など周囲の炎症や感染に対する治療を行います。

■推奨される症状

  • 両側の滲出性中耳炎で、中等度以上の聴力障害(40dB以上)*1が起こっている場合
    *1中等度以上の難聴:一般的に多くの人が「普通」と感じる大きさの音・会話が「小さく」感じ、聞き間違いや聞き取りにくさを感じる。
  • 片側または両側の滲出性中耳炎で、鼓膜の接着(アテレクタシス)や癒着など鼓膜に病的変化が出た場合
  • 両側の滲出性中耳炎で、軽度の聴力障害(25~39dB)*2が起こっている場合
    *2軽度の聴力障害:一般的に静かな音(小さな声・ささやき声など)や騒音がある中での聞き間違い・聞き取りにくさを感じる。

上記の通り、鼓膜チューブ留置術は①なかなか治らない・何度も繰り返す「難治性の滲出性中耳炎」「難聴や鼓膜に癒着など病的変化がある場合」に適応となります。

また、検討してよい症状として、片側または両側の滲出性中耳炎で、下記のような症状がある場合としています。

  • 前庭症状(めまい等)がある場合
  • 学校における活動性の低下
  • 学業面の遅れ
  • 行動面で問題がある場合

(参考)小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年|日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会-編
こちらのP.64に鼓膜チューブ留置術の適応症例が詳しく解説されています。

2.鼓膜チューブ留置術のメリット・デメリットと後遺症・合併症

滲出性中耳炎治療で広く行われている「鼓膜チューブ留置術」ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

また、鼓膜チューブ留置術で起こりうる後遺症や合併症は、頻度が低くても聴力に関係しているので、注意が必要です。

鼓膜チューブ留置術のメリット-難聴改善・中耳炎の発症頻度が低減

  1. 中耳の換気機能が改善
    →チューブで空気穴をあけておくことで、滲出液が溜まりにくくなります。
  2. 聞こえが格段に良くなる(難聴改善)、耳の違和感・閉そく感がなくなる
    →滲出液がなくなると、鼓膜の振動が復活するので聞こえが戻り、耳の違和感や閉そく感がなくなります。
    ※チューブを入れたままでも、聞こえ方には問題はありません。
  3. 急性中耳炎の発症頻度が減少する
    →1人あたりの1年間の急性中耳炎の発症回数は、チューブ留置:0.18回、鼓膜切開:0.58回、手術非実施:0.38回であったとする調査データがあります。
  4. 急性中耳炎後に移行する「滲出性中耳炎」を予防することが可能
    →中耳に炎症が起こらなければ、中耳内の圧力が下がらず、滲出液は溜まらなくなります。「鼻すすり癖」がやめられない場合には、特に有効とするデータもあります。

一般的に滲出性中耳炎は、10歳前後までに90%が自然治癒するとされています。それなら「わざわざ手術せずとも、治る10歳くらいまで待てば良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、忘れてはいけないのが、滲出性中耳炎の好発年齢である乳幼児期は、言語習得時期であり、知識の吸収が目覚ましい大切な時期ということ。

軽度でも聞こえにくい状態(難聴)で過ごすことは、言語発達や注意力・学習など発達にとって無視できないマイナスの影響が起こりかねないのです。

(参考)子供の難聴を早く見つけよう!「小児の滲出性中耳炎」について|ニュー琴海病院
こちらのページでは、子どもの難聴傾向を見つけることの大切さ等小児滲出性中耳炎について、詳しく説明されています。

【体験談】耳の聞こえの悪さから、発語や聞き取りに影響。チューブ後3か月で聴力や平衡感覚が改善。

生後5ヶ月頃火のついたように泣いて、全く泣き止まず…耳鼻科にいくと中耳炎と診断されました。
その後、何度も中耳炎を繰り返し、その度に抗生剤を色々変えて飲んでました。息子は、扁桃腺も大きく、高熱も出やすく、寝ているときはいつも口を開けていびきをしていました。その為か、よく風邪も引いていました。そして、一歳の頃に侵出性中耳炎と両耳診断され、月に2回耳鼻科に通っていました。

耳の聞こえが悪いため、言葉もなかなか覚えられず…話せても発音が悪く、聞き取れないこともありました。この状態が5年間つづき、保育園の先生からも言葉の教室を勧められ…言葉の教室にも通うことになりました。

(中略)

そして、左耳にチューブをいれる手術とアデノイドを取る手術をした方がいいと言われ、手術を受けました。手術をして3ヶ月程たった頃、保育園の先生に耳の聞こえがよくなったのか、聞き返すことが減ったのと、平衡感覚もよくなり転ばなくなったと言われました。また、寝てるときも口を開けることなく、イビキもしなくなり、風邪も引きにくくなりました。

小学校入学前まで言葉の教室に通いましたが、入学の時にはみるみる聞こえがよくなり、言葉も少しずつはっきり話せるようになりました。
一年後、耳のチューブを取り、鼓膜も綺麗に形成され聞こえも全く問題なくなりました。

(引用元):生後5ヶ月で中耳炎。その後、侵出性中耳炎に・・・ 

また、「滲出液が溜まりにくくなる」ということは、何度も中耳炎を再発して鼓膜切開しなければならないケースが減るということ。
本人はもちろん、看病しているお母さんにとっても、頻繁な通院が減るのは助かりますね。

【体験談】重度の滲出性中耳炎だったが、チューブ留置術をやって良かった!

子供が小さい頃から滲出性中耳炎になりやすく、しょっちゅう病院に通っては薬、通っては薬と繰り返していて過去に二度ほど鼓膜の切開もしています。あまりに良くならないため、かかりつけの耳鼻科の先生から鼓膜チューブを勧められました。

二度の切開の際も見ているこっちも泣きそうになる程、子供は泣きますしもちろん暴れます。なので手術の際は全身麻酔になると言われ、とても悩みました。

(中略)

鼓膜チューブを入れてからは耳を痛がる素振りもなく、お風呂の際に水がチューブから耳に入らないように気をつけるくらいで、病院に何度も通わなくて済むし抗生剤を飲まさなくて済むし、一緒に通院して私や下の子供が病気を貰うこともなくなり今となっては手術をして良かったと思っています。

チューブをつけて半年程して自然とチューブが出てきました。だいたい数ヶ月〜1年くらいで自然と出て来るらしいです。その後何度か中耳炎にかかることはありましたが、だらだらと長引く重度の中耳炎にはなっていません。

(引用元):重度の滲出性中耳炎で鼓膜チューブを入れる手術→悪化しなくなりました。

鼓膜チューブ留置術のデメリット-鼓膜に開けた穴が塞がらない

  1. 長期間入れていると、穴が閉じなくなる場合があること
    →穿孔残存率(穴が残った割合)は、短期留置型チューブで2.2%、長期留置型チューブで16.6%。
  2. 耳に「水」が入らないように注意する必要があること
    →チューブから雑菌が含まれた水が入ると、耳の中で感染を起こしてしまう恐れがあるので、注意が必要です!
    ※お風呂・プールについては、後ほど「飛び込み・潜水はNG!チューブ留置中のお風呂・プールは?」にて詳しく説明しています。

鼓膜に穴が開いたまま放置すると、聴力の低下や中耳炎などの炎症が起こりやすくなります。

(参考)鼓膜チューブ留置術(いわゆるチュービング)について|耳鼻科医の診療日記
こちらのページでは、あさひ町榊原耳鼻咽喉科の院長先生によって「鼓膜チューブ留置術」のメリット・デメリットや方法などイラスト共に詳しく解説されています。

鼓膜チューブ留置術の後遺症-鼓膜硬化(石灰化)・穴が残るなど

鼓膜チューブ留置術の後遺症として、鼓膜硬化・鼓膜石灰化が高い割合で見られます。

■鼓膜硬化(鼓膜石灰化)

【特徴】 鼓膜が長期間炎症を繰り返すことで、白くなって固くなっている状態。
【原因】 チューブ留置に伴って、鼓膜組織の障害が影響していると考えられています。
【発生頻度】 チューブなし:10%前後、チューブあり:39~65%両側チューブの場合、より高率となる)
【治療法】 石灰化が周辺にも拡がり、難聴が悪化した場合には、手術(鼓室形成術)。

通常、耳小骨まで降下することはないため、0.5dBを超える聴力損失はないとされています。
そのため、聴力検査で問題がなければ、経過観察となります。

■鼓膜に穴が残る(永久鼓膜穿孔)

【特徴】 チューブが抜けた(取り除いた)後、いつまでも穴が塞がらず、そのまま残ってしまう状態。
【原因】 チューブ留置後、穿孔縁(チューブを入れた穴の周り)に鼓膜硬化症を合併するケースが多い。
【発生頻度】 チューブ留置実施の2~6%程度。
【治療方法】 手術(自分の耳の後ろにある筋肉の膜(筋膜)を移植)、外来での鼓膜再生治療(一部の病院)

穴の大きさによっては聴力低下の原因となり、小さくても鼓膜内感染の原因となります。

(参考)小児慢性穿孔性中耳炎手術施行症例の臨床的検討 Otol Jpn 23 ( 2) : 85- 91, 2013
こちらは、自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科の先生によって、慢性穿孔性中耳炎(中耳の炎症が続いて、鼓膜の穴が開いたままになってしまう)に対する鼓膜穿孔の原因や鼓膜硬化について、検証されています。

鼓膜チューブ留置術での合併症-鼓膜が薄くなる・真珠腫形成

■鼓膜の菲薄化(ひはくか)

【特徴】 鼓膜が薄くなった状態。
【原因】 中耳の炎症が続くことで、鼓膜の線維層*3が失われるため。
*3 線維層:3層で構成されている鼓膜のうちの真ん中の層。
【発生頻度】 チューブ留置の既往なし:3~31%、チューブ留置の既往あり:16~75%

チューブ留置で鼓膜が薄くなるリスクは17.4倍と報告されています。

また、鼓膜が薄くなった場合でも、中耳の換気・調圧機能が正常であれば、問題はありません。

しかし、耳管閉鎖不全による鼻のすすり癖*4があると、陥凹(かんおう:へこみ)が進みやすくなります。
癒着性中耳炎*5や真珠腫といったより長期にわたって問題となる後遺症へ移行する可能性があります。
小児の場合、早めに手術を行うことで高度の癒着病変への進行を防止できる可能性があります。

*4 耳管閉鎖不全による鼻のすすり癖:耳管の調圧機能(通常閉じていて、必要な時にだけ開く)が弱いことが原因。常に鼻をすすっていると、鼓膜が陥凹や滲出液が溜まるので滲出性中耳炎の原因に。また、耳の閉そく感・自分の声が響くなど不快な症状を抑えるために、鼻をすすっている場合も。
*5 癒着性中耳炎:鼓膜が中耳腔の壁に癒着して、空気が入るスペースがない状態。感染を起こしやすく、難治性の耳漏が起こる・聞こえが悪くなる。

■真珠腫の形成

【特徴】 鼓膜の一部が袋状に陥凹して(へこんで)、その中に耳垢が溜まっている状態。
【原因】 鼻すすりや耳管機能の悪化。ただし、原因不明の発症例も少なくない。
【発生頻度】 約1%(短期留置型チューブ:0.8%、長期留置型チューブ:1.4%)
【治療方法】 真珠腫を摘出する場合には、手術が必要。

鼓膜の中で細菌が繁殖しやすく、炎症を起こし中耳炎となると、悪臭のする耳だれが出るようになります。

また、真珠腫は骨を壊します。
耳小骨が壊れると聞こえが悪くなり、さらに内耳や顔面神経などまで進行すると、めまい・聴力損失、顔面神経麻痺(顔の片側や一部が思うように動かない状態)などの合併症に発展することも。

チューブ留置回数が増える程、真珠腫発生の危険は高くなるとする大規模調査結果があります。
チューブ留置術を4回受けた場合の真珠腫発生リスクは、1回しか受けていない場合の5.6倍としています。

複数回チューブ留置を行う場合は、注意深く経過観察する必要があります。

(参考)耳の健康|養護教諭のお仕事 第12回「児童生徒の耳・鼻・のどの健康」 公益財団法人 日本学校保健会
こちらのページでは、「鼻をすすりすぎると中耳炎になる」話について、詳しく説明されています。
(参考)真珠腫性中耳炎について|河野耳鼻咽喉科
こちらのページでは、真珠腫および真珠腫性中耳炎の原因・症状・治療法など詳しく説明されています。

3.「鼓膜チューブ留置術」で使用されるチューブの種類や施術の流れ

鼓膜チューブ留置術で使用されているチューブは、目的の留置期間によって、大きく2タイプに分けられています。
それぞれの違いをまとめました。

留置するチューブの種類と選択:「短期留置型」が第一選択

鼓膜チューブ留置術で使用されるチューブは、素材や大きさ(内径・外径)・フランジから、短期留置型長期留置型に分けられます。

色々な種類がありますがチューブの多くは、マッチ棒の先くらいのサイズ(2~3ミリ程度)でとても小さく、ミシンの時に使う「ボビン」のように、フランジと呼ばれる筒状の両端に円形の板がついている形状をしています。

また、外部フランジに糸や鍔(つば)が付いており、抜きやすいよう工夫されているものもあります。

(画像)鼓膜チューブ(短期留置型・長期留置型)の比較
※クリックすると、拡大します。

上記の通り、難治化するリスクがない場合、まず初めて留置する際は、後遺症・合併症リスクが低い「短期留置型チューブ」を第一選択にすべきとされています。
また、短期留置型チューブを入れた場合の進出性中耳炎治癒率は、50~80%とされています。

ただし、チューブが自然に脱落した後、20~50%に滲出性中耳炎の再発があり、3年以内にチューブの再留置が必要となるケースも見られます。

実際どちらの種類が選択されるかは、鼓膜の状況や患者さんの年齢などによって異なります。
どちらにもメリット・デメリットがありますので、かかりつけ医としっかり相談することが必要です!

(参考)鼓膜換気チューブの選択とその適応|日本耳鼻咽喉科学会会報 121 巻 (2018) 2 号 148-149
こちらのページでは、自治医科大学附属さいたま医療センター 吉田尚弘先生によるチューブ種類や選択について、解説されています。

3年以上は後遺症リスク大!鼓膜チューブの留置期間

鼓膜チューブの留置期間は、滲出性中耳炎の治癒に関わる大事なポイントとされてはいますが、残念ながらガイドラインでも結論が出ていない状況です。(2018年6月現在)

人体は「チューブ」を異物と見なしますので、一般的にはある程度期間が経過すると、自然に抜け出てきます。

短期留置型であれば、自然に抜けることがほとんどで、抜けた後の穴も自然に塞がるので、「いつまで?」「後遺症は?」などとあまり心配することはありません。

しかし、長期留置型チューブの場合は、注意して経過観察を行う必要があります。

3年未満で抜いた場合の穿孔残存率は3%でしたが、3年以上チューブを留置した場合には15%と、5倍リスクが増大したとする調査データがあります。
そのため、「長期留置型チューブであっても、2~3年経ったら抜くことを検討すべき」としています。

なお、高齢者の場合、子どものように耳管機能の改善が見込めないため、常時必要となる場合があります。

「鼓膜チューブ留置術」施術の流れ:麻酔→切開→チューブ挿入・留置

  1. 鼓膜に局所麻酔をする。
    横になって、麻酔液を耳に流し込み、約10分間電気分解することで、麻酔液が鼓膜表面と外耳道に浸透し、痛みが軽減できます。
  2. メスまたはレーザーで鼓膜切開し、膿・滲出液を吸引する。
    切開した部分がチューブより大きいと脱落することがあります。
  3. チューブを挿入し、ある程度留置する。
    施術自体は、比較的安全で簡単な手術とされ、5分程度で終了します。

(画像)鼓膜チューブ挿入後の鼓膜の様子|医療法人梅華会グループ「中耳炎の症状と治療」
こちらのページでは、鼓膜チューブ留置術の治療内容や流れについて、詳しく説明されています。

◆「鼓膜切開」については、以下の記事で詳しく説明しています。
耳痛を早期改善!中耳炎の治療で「鼓膜切開」をするメリット・デメリット、体験談

■鼓膜チューブ留置術は痛い?

チューブ挿入前の鼓膜切開をする際に、鼓膜に麻酔を入れて行います。
麻酔が効くのを待ってから(10分程度)切開と挿入を行いますが、完全無痛ではなく若干痛みを感じる場合があります。

また、チューブを抜くときは、挿入同様に外来で簡単に抜けますが、やはり多少の痛みを感じる場合があります。

■全身麻酔下で挿入を行う場合もある

大人の場合には、局所麻酔でサッと簡単に挿入することができます。

しかし、乳幼児の場合、そうはいきませんよね。
じっとしているのが難しい場合には、入院して全身麻酔下にて挿入することも可能です。

また、アデノイド切除も同時に行う場合にも、全身麻酔下で挿入することになります。
日帰り入院~1週間程度の入院まで、入院日数は病院および症状によって異なります。

ご心配な方は、一度かかりつけ医に相談されるとよいでしょう。

(参考)鼓膜チューブ留置術|泉川クリニック
こちらのページでは、鼓膜チューブ留置術の施術の流れについて、くわしく説明されています。

【体験談】「滲出性中耳炎」で耳が聞こえにくい状態。チューブ留置術によって、聴力回復

子供が風邪をひいてから鼻水が出始め、耳の聞こえも悪くなっていたので受診しました。

検査の結果、鼓膜の奥に水が溜まる「滲出性中耳炎」と言われました。最初は服薬で様子を見ていたのですが半年たっても症状がよくならず、このままだと難聴になる事も考えられるとの事で手術を勧められました。

麻酔医の説明を受け、事前検査(心電図、血液検査、レントゲン)を手術とは別日に受けました。
手術は子供の場合は全身麻酔で鼓膜にチューブを入れるというものでした。同時に扁桃腺切除とアデノイド切除もしました(鼻が詰まるといびきがひどかったのはこれらが原因のようです)

(中略)

術後は耳の聞こえも良くなり、鼻水も出にくくなりました。アデノイドと扁桃腺を取ったので声が高くなったように聞こえましたが、これが子供の本来の声との事だったので知った時は衝撃でした。

(引用元):子供の滲出性中耳炎が悪化

給付金は対象外!?鼓膜チューブ留置術にかかる費用

鼓膜チューブ留置術は、健康保険が適用され、3割負担で片耳約8,000円となっています。(診療代・チューブ代・麻酔代など諸経費は含まず)
なお、入院して全身麻酔下で行う場合には、さらに入院基本料などが加算され、入院日数が長い程高額となります。

(参考)中耳炎の日帰り手術|深谷耳鼻咽喉科クリニック
こちらのページでは、鼓膜チューブ留置術をはじめ、中耳炎治療で行われる各種手術について、費用及び内容を詳しく説明されています。

■生命保険の給付金は対象外が多い

鼓膜チューブ留置術は、メスを使った手術(場合によっては、全身麻酔も)です。
そのため、生命保険の給付金対象となるかどうか、気になるところですよね。

しかし、「鼓膜切開」同様、多くの生命保険会社で「給付金の対象外」とされています。
ただし、保険商品のプランによっては、対象となっている場合もあります。

一度、ご契約内容を確認されると良いでしょう。

(参考)手術給付金のお支払いについて|東京海上日動あんしん生命
こちらのページでは、保険商品ごとに給付金の対象・対象外の手術例が掲載されています。

4.定期観察が重要!鼓膜チューブ留置術後の過ごし方

鼓膜チューブ留置術を行った後は、多くのケースでQOL(生活の質)が改善されます。

しかし、留置術後も定期的な経過観察は、非常に重要です。

チューブ留置中は、月1程度の通院でOK

チューブ留置後は、治療効果の確認として、留置状態や聴力評価を行うための定期的な通院が必要となります。

通院間隔は、月1回程度。

もちろん留置中に異常(中耳炎の再発や耳だれ等)が発生した場合には、速やかに受診することが大切です。

■もし途中で自然にチューブが抜けたら?

鼓膜の状況から、滲出性中耳炎の再発の有無や入れ直しについて、検討します。

ガイドラインでは、脱落後1~3か月以内に後遺症のチェック、6か月~12か月後には治癒したかどうかの最終チェックを行うことが推奨されています。

飛び込み・潜水は禁止!チューブ留置中のお風呂・プール(スイミング)について

チューブ留置によって、耳の鼓膜に穴が開いている状態です。
そのため、なるべく耳に水が入らないよう配慮する必要があります。

飛び込み・潜水のほか、海や湖での水泳は感染の機会が高まるので、避けた方がよいとされています。

なお、個人の症状によっては、許可されない場合もあるので、一度かかりつけ医に相談しましょう。

■お風呂について

施術当日でなければ、シャワーや普通の入浴については「OK」とされています。
耳に綿を詰めたり、防水性の耳栓をしたりして、水が入らないよう注意しましょう。

なお、飛び込む・潜るなどは、チューブから水が入ることで炎症に繋がる可能性があるため、避けましょう。

また、耳だれや痛みといった炎症が起こっているときも、お風呂は避けましょう。

チューブ留置後4週間までに約17%が、風邪などが原因で耳漏(耳だれ)を起こすことが確認されています。

■チューブ留置中のプール(スイミング)は?

多くの耳鼻咽喉科で、飛び込む・潜る(ダイビング)以外であれば、”水泳は、防水性の耳栓を着用すればOK”とされています。
耳栓をした後、水泳キャップで耳を覆うように被ると、より安心です。

スイミングスクールなど飛び込む可能性がある場合には、かかりつけ医にご相談されるとよいでしょう。

脱落注意!耳掃除は病院でやると安心

留置術で使用されるチューブによっては、安全のために細い糸が付いているタイプもあります。
自宅で耳掃除を行うと、うっかり紐にひっかけてチューブが外れてしまうことがあります。

また、耳かきや綿棒でチューブを押してしまい、チューブが耳の中へ落ちてしまう危険性もあります。

チューブ留置中は、耳掃除をするなら病院で処置してもらうと良いでしょう。

(参考)滲出性中耳炎と鼓膜チュービング|尾関耳鼻咽喉科医院
こちらのページでは、鼓膜チューブ留置術(チュービング)の手順や術後の過ごし方について、詳しく説明されています。

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